連載（９）谷川俊太郎全《詩集》を読む
（「びーぐる」５１号）
山田兼士
（２９）『日本語のカタログ』（思潮社、1984）
思潮社シリーズ第４弾は引き続き実験的作品群。表題作は他人の文章によるコラージュだが、他にも日本語の可能性を追求する作品が並んでいる。「詩」と「詩でないもの」との葛藤がおもな主題だ。詩「アルカディアのための覚書（部分）」の一部を引用する。
１窓
さまざまな色合の空き瓶を溶かし直して作られた灰色の硝子の向こうに、雑草の生い茂る庭とおぼしい空間が広がり、一人の老婦人が綱渡りの稽古をしている。
前半の硝子が詩で後半の雑草が詩でないものとすれば、綱渡りをする老婦人は両者の葛藤、つまり「詩的なもの」である。
４トマト・ジュース
そのような飲料は存在しない。
この上なく簡潔な否定文は存在自体の否定であり、ゆえに詩的言語の肯定である。
５かなしみ
かなしみについて語ろうとすれば、かなしみは消え去る。そのことを熟知しているこの土地の住人は、かなしみに襲われると、少量の塩を掌にとって嘗めるが、大声で泣き喚く者もまた隣人によって祝福される。
「かなしみ」は谷川作品の至るところで鳴り響く主旋律だが、ここではその逆説的価値が示されることで、「祝福」への価値転換が図られる。ここにもまた、詩と詩でないものとの葛藤が描かれていることがわかる。
６犬
犬どもは街路を跳ね廻る。主として路上に落ちているどんぐり等の木の実を食べる、稀に蟻や羽虫の類も食べる。彼等は人間に尻尾を振らぬ。互いに鼻をかぎあって自足している。故に皆、名前がない。
ボードレール（の特に散文詩）以後の詩人にとって「犬」とは、放浪、無宿、独立の表象であり、何よりも自由を尊ぶ精神の象徴だった。匿名であることはその自由の表れだ。
８風船
風船を紐につなぐことは、法の名によって禁じられている。
空に舞い上がる「風船」の能力は（例えばジャン・コクトーのような詩人にとって）モダニズムの象徴だが、その力を「紐につなぐこと」が法によって禁じられる、というのは大いなる矛盾であるが故に詩的現象と言える。
１０詩
各人は一日の任意の時間に、任意の出来事を詩として観想することを期待されている。それを言語化する義務はない。
詩は常に求められ続けるべきものでなく、「任意の」時間と出来事に限られた局面において発見され定着されるもので、詩人といえども｢それを言語化する義務はない｣。これらの作品群は、詩を自らの宿命とし使命ともする呪縛から逃れて、楽しみであり娯楽と考えてもよいという谷川詩学が、さりげなく散りばめられた「カタログ」なのだ。
（３０）『詩めくり』（マドラ出版1984）
この年３冊目の詩集は２行から７行までの短詩３６６篇から成る。タイトルは「日めくり」のもじりで、「カタログ」の変種とも見える。元旦から大晦日までの日付が入っているが、その日付に特に意味はない。ユーモア、ウィット、アイロニー、ナンセンス、詩論と、なんでもありだ。いくつかを引いてみよう。
一月十七日
蛇口をひねると水が流れ出すというのは
時間と空間にかかわる複雑な因果の連鎖の
ひとつの結節点と言えるのだから
だからどうしたの？
アフォリズム的な薀蓄を述べた後で、その意味内容を無化するかのような疑問文で終わるというのは、この後の谷川作品でしばしば用いられる辛辣なユーモアの走りだ。
六月十二日
私の核弾頭付ミサイルどこへ置いた？
と妻がきいた
冷蔵庫の上
と夫が答えた
核弾頭付ミサイルという物騒な兵器を冷蔵庫の上という日常的な場に置く、その不条理とナンセンスが、意表をついたサブカルチャー的センスを際立たせている。この詩集を刊行したマドラ出版が広告業界の出版社だったことも想起しておこう。
十月六日
鯨は大きい
私は小さい
その前提を曖昧にする思考を
私は憎む
と誰かが明言する必要がある
巨大な生物を引き合いに出すことで自らの卑小さを述べるのはいかにも谷川さんらしい物言いだが、その事実にいかなる曖昧さも許容しないという態度は、あまり見ないものだ。
十二月一日
何もしないということも
何かをすることの一変奏に過ぎぬという
平明な事実がその夜
きわめて美しい七十六歳の元娼婦によって
満員の国立小劇場において立証されたと
若い批評家は感じた
自らを「批評家」と称するのはめずらしい。
十二月二十三日
ああマヘリアは歌った七月の大気をふるわ
せ
私は歌う私は自由だからと
その歌声は引用できない
クリステヴァにすら
ゴスペルのマヘリア・ジャクソンはこの時期の谷川さん偏愛の歌手だったようだが、その音楽の本質は（最先端の思想家たる）ジュリア・クリステヴァにさえ、分析はおろか引用さえできない。音楽＝芸術の絶対性の表明だ。
十二月三十一日
これで私には仏領ギアナについて何ひとつ
語る資格はないことが分かったろう
実際私はそこに近づいたこともなく
そこに行くことを空想したことすらない
詩人が無力であることは本質的であることと矛盾し合うことではない。一年のカレンダーはそうした発見で結末を迎えている。
（３１）『よしなしうた』（青土社1985）
ソネットの亜種と見える十四行詩（七行＋七行）が３６篇。英訳がついていて、そのタイトルは「SONGS
OF NONSENSE」。ブレイクの『SONGS
OF INOSENSE 無心の歌』のもじりだと言う。総ひらがな詩なので子供の詩に見えるが、実は相当にホラーでブラックな、哲学的とさえ呼び得る「大人の」作品群だ。例えば、「ゆうぐれ」などはこの人にしか書けない、深く暗いライトヴァースである。
てんき
てんきのいいのは ふゆかいである
そらがぬけるように あおく
そよかぜが ふくともなくふいているのは
ひとを ばかにしているとしかおもえない
だが そのおなじてんきが
ゆかいでたまらないときも あるのである
そうおもうと よけいふゆかいである
（前半部のみ）
「ゆかい」と「ふゆかい」の両義的価値をこれほど平明なことばで言い当てた例を私は知らない。後半では、あらゆる「てんき」を理想としながらも「ふゆかい」に思うことを「たのしみのひとつ」と考え、人の自由と不条理を発見している。慧眼と言わざるを得ない。
ふしぎ
ぼくはふしぎが だいすきなんだ
と そいつはいった
ふんふんと ぼくはこたえた
ぼくはふしぎが だいっきらいさ
と そいつはいった
へいへいと ぼくはこたえた
むじゅんしてるかなと そいつはいった
じんせいって そんなもんさ
と ぼくはこたえた
いまいったこと みんなうそ
と そいつはいった
てつがくかい？ と ぼくはたずねた
ばかにすんなよ あとがこわいぜ
と そいつはすごんだ
「ふしぎ」と「うそ」をめぐる哲学が議論される様が、磊落な中にもすごみをもって描かれていて、案外人の世の争いとはこんなものかもしれないと思わせる説得力をもっているのがふしぎだ。
オノマトペ
あなたはおおげさねと おんなはいう
あのひとは ぼそぼそはなしただけだよ
ぺらぺらしゃべったりは しなかったわ
いやむしろ がみがみわめいてたよ
ぶつぶつと おとこはいう
あなたみたいに うじうじいうのよりいい
わ
さばさばと おんなはこたえる
ろりくいちっぷきゅりりりりと
かごのなかの ことりがさえずる
おんなのみてる まんがのなかで
ズテテッと しゅじんこうがずっこける
まどのそとに ぽつんとかかしがたってい
る
きらきらかがやく まなつのひのもとで
せかいは ほとんどおんがくであった
前半で六つものオノマトペを乱発し、後半では聞き慣れない（オリジナルの）オノマトペを披露したかと思うと、さらに三つのオノマトペを重ねた後に、音楽としての世界を発見する、という、いかにも谷川俊太郎らしい結末を導いている。このノンシャランスもまた、NONSENSEの一つなのだろう。
（３２）『いちねんせい』（小学館1988）
３年ぶりの新刊詩集は、和田誠の絵も楽しい絵本詩集。五十六歳の詩人が小学一年生になりきって、思う存分その幼児性を発揮し、オノマトペ、悪口、悪戯、地口等を自由自在に繰り広げる。そんな中にも、時にはっとさせる発見もあり、子供の詩の可能性を大きく広げた一冊と言える。「たかしくん」を全文引用する。
わたしは たかしくんが すき
たかしくんは かおが いい
めが おおきくて
ほっぺたが やさしい
わたしは ゆめを みました
たかしくんと ふたりっきりで
あふりかへ いったゆめ
ぞうが がおうと ほえました
わたしは たかしくんが すき
でも どうすればいいのか わからない
てがみを かきたくても
まだ じが みっつしか かけないの
四行三連という端正なスタイルの中に、幼い（字が三つしか書けない）女の子の内面を素早くスケッチすることで、子供なりのもどかしさや焦りや逡巡を鮮やかに描き出している。
次に、いかにも子供らしい悪態を列挙した作品「わるくち」を挙げてみよう。
ぼく なんだいと いったら
あいつ なにがなんだいと いった
ぼく このやろと いったら
あいつ ばかやろと いった
ぼく ぼけなすと いったら
あいつ おたんちんと いった
ぼく どでどでと いったら
あいつ ごびごびと いった
ぼく がちゃらめちゃらと いったら
あいつ ちょんびにゅるにゅると いった
ぼく ござまりでべれけぶんと いったら
あいつ それから？ といった
そのつぎ なんといえばいいか
ぼく わからなくなりました
しかたないから へーんと いったら
あいつ ふーんと いった
『よしなしうた』のところでも述べた独自の（独創的）オノマトペを五つ続けた後に、突然おとずれた沈黙と、奇妙な呼応（「へーん」と「ふーん」）が、二人の子供の交感をさりげなく示している。
本詩集には、次のような、「ことばあそびうた」の進化形のような作品まであって、さらに先の展開から目を離せない。作品「って」。
あさってきてって
きてまっててって
まっててあってってって
あってつれてってって
きってかってって
かってはってって
はってもってってって
もってってってだしてってって
促音便を多用した、いかにも子供らしいことば使いの中に、新しい詩的リズムの可能性を示唆しているようで、なかなか油断できないフレーズだ。「ことばあそび」以来の言語実験がさらにヴァリエーションを増やしつつ新しい展開に向かおうとしている。ここで詩人はあたらしい「いちねんせい」なのだ。
（３３）『はだか』（筑摩書房1988）
全２３篇、総ひらがな表記の子供目線の作品集。佐野洋子の挿絵が、単に可愛いだけでなく、一種の不気味さ不条理さを滲ませているように、全作品が複雑で不思議な子供心を微妙に描き出している。名作「さようなら」にはここで触れないが（別のところですでに詳しく触れた）、他にもかなり怖い作品がある。まず表題作から。
はだか
ひとりでるすばんをしていたひるま
きゅうにはだかになりたくなった
あたまからふくをぬいで
したぎもぬいでぱんてぃもぬいで
くつしたもぬいだ
よるおふろにはいるときとぜんぜんちがう
すごくむねがどきどきして
さむくないのにうでとももに
さむいぼがたっている
ぬいだふくがあしもとでいきものみたい
わたしのからだのにおいが
もわっとのぼってくる
おなかをみるとすべすべと
どこまでもつづいている
おひさまがあたっていてもえるようだ
じぶんのからだにさわるのがこわい
わたしはじめんにかじりつきたい
わたしはそらにとけていってしまいたい
ここに幼い女の子の微妙なエロティシズムを感じて戸惑った読者も多かっただろう。もちろん、詩に禁忌や忖度は不要だ。
おかあさん
めをつむっているからくらいんじゃない
めをあけたってまっくらだってわかってる
ねむってしまいたいけどおかあさんが
がけからおちるゆめをみそうでこわい
みちをあるいてくるくつおとがする
でもあれはおかあさんじゃない
ひるまがっこうからかえってきたら
かれーつくりながらびーるをのんでいた
おかあさんまたのんでるっていったら
はいまたのんでますっていった
それからおかあさんはでかけた
いまどこにいるのおかあさん
もうでんしゃにのってるの
まだどこかあかるいところにいるの
だれとはなしてるの
わたしともはなしをしてほしい
かえってきてほしいいますぐ
ないててもいいからおこっててもいいから
平明なフレーズが並んでいるだけの詩なのに、この分かりにくさはどういうことだろう。ひとりの女の子がなかなか家に帰らない母親を待っている、というだけの詩だ。眠るのが怖くて起きているのならなぜ灯をつけないのか？ 母親はキッチンドリンカー？ なかなか帰らないのは外で男と会っているから？ 最終行は、母親が時に泣いたり怒ったりしながら帰ることを暗示している。
この家族の肖像は決して明るい幸福なものではない。かといって、破局や崩壊と呼ぶほどの不幸があるわけでもない。せいぜい夜なかなか帰らない（夕食を支度するぐらいの余裕はある）母を待つ寂しさ程度の不幸である。よくあることだ。だが、このよくあること、という程度の不幸感が読者の琴線にそっと触れてくる。程度の差と頻度の差こそあれ誰にも経験のある不安、不穏、寂寥をデリケートに描いた作品なのだ。このような脅えは、大人になっても払拭されるわけではない（私にもある）。詩人は、ふだん理性と習慣の背後に隠蔽されているだけで決して消滅はしない〈こどもの孤独〉を描いているのである。
（３４）『メランコリーの川下り』
（思潮社、1988）
英訳付きで日米同時発売という新企画。短めの作品と長い作品が混在して一種のカオスを醸しつつ、それでも強靭なモチーフに貫かれた、思潮社シリーズの第５弾だ。珍しく生活の困難を反映し表題作に描かれる鬱は深刻。
なんといっても、全五百行近い長編の表題作に注目しなければならない。まず巻頭部分。
東むきと西むき
ふたつの窓を開け放っておくと……夜
空気が……忍び足で入ってきて
部屋の中をそっとうかがい……また
出て行く気配がする……
何かをもってきたのか……それとも
何かを……もち去ったのかさだかではない
が……
全体として長編詩ではあるが、作品は頻繁に「＊」によって寸断され、あたかも断章の連作のようにも見える。もう一つの特徴は「……」の多用で、いつになく歯切れの悪い印象を与えている。それというのも、きっぱり断言できない焦燥、苦悩、憂愁といった抑鬱的な気分が本作品の何よりの特徴だからだ。
たとえ……言葉をもっていたとしても
蝶は……人に話しかけない……
でも蝶は形をもっていて
ためらいがちに……人を
言葉へと誘う……
ひとつの言葉から……その言葉の奥の……
もうひとつの言葉へ……さらにまたその奥の
……言葉へと……いつまでも
言葉へのこだわりはいよいよ執拗になって、オブセッションの領域にまで及んでいく。その端的な形象が「蝶」である。なぜなら蝶とは心性＝霊魂の喩であるからだ。
音楽はいつも終わってしまう
終わるくらいなら始まらなければよかった
のに
女のあの時の声そのままに
ヴァイオリンは高みへ高みへとかすれてい
った
もう聞こえないその音のせいで……静寂は
失われ
耳はきりなく渇きつづける
やはり言葉の宿命が追求され、それと対をなすかたちで沈黙が語られていく。言葉と沈黙の葛藤は様々な像を呼び、観念を呼ぶことで、ますます詩人を追い詰めていくことになる。これほど深い絶望を宿した谷川俊太郎は他の詩集には見られない。最後の一節を引用する。
……書くために
書かないでいることを学び……
書く……ために
もう一度初めから……
書きかたを覚える
その学校には誰も……いない
ざらついた木の床に……
陽が射していて
遠くからかすかに……おまえの声が
聞こえているだけで……
「書く」行為に対する根源的な懐疑と、それゆえの沈黙は、もう少し後の「十年の沈黙」を予告するもので、その萌芽がすでにここにあらわれていることを、当時はだれも見抜けなかった。もちろん今の読者にはわかる。
（３５）『魂のいちばんおいしいところ』
（サンリオ、1990）
長い期間にわたって書かれた作品の集成ということで、内容もスタイルも多岐におよんでいるが、これも谷川作品の特徴の一つ。例えば、長年翻訳してきたシュルツの漫画の登場人物たちを描いた楽しい作品「「ピーナッツ」のみんなに」や、歌を意識して（歌詞になるように）三番までの循環形式で書いた「三つのイメージ」（三善晃によって作曲された）など、いよいよ引き出しは豊富になるばかりだ。いくぶんコミカルな巻頭作を、十七年後の詩集『私』の巻頭作と比べてみるのも面白い。どちらもタイトルは「自己紹介」。ここでは一九九〇年の方を紹介する
時に私はとほうもない馬鹿になり
とりかえしのつかぬあやまちをおかし
平然としてキァンティなど飲んでいる
そんな私に誰も気づかない
時に私は一介の天使となり
すべてを慈悲の眼でみつめ
ゆり椅子におさまって昼寝している
そんな私に私もきづかない
時に私は何ものでもなくなり
じわじわと怪物のように時空に滲み出し
水洗便所で流されてしまう
そんな私をフェラリも轢くことができない
まるで四コマ漫画のような（実際には三部構成だが）軽快な筆致で、馬鹿になったり天使になったり怪物になったりする、詩人の多重人格性が、簡潔に、だが精緻に描かれている。水洗便所で流される詩人の自画像は、はるか以前の詩集『２１』（1962）に収録された「黄いろい詩人」と呼応するものだし、「フェラリ」への言及はいかにも自動車好きの詩人らしい愛嬌＝冗句だ。
本詩集には、女性一人称によるデリケートな作品「わたしの捧げかた」などもあって、谷川ワールドの広がりを忌憚なく示しているといった趣だが、なんといっても重要かつ魅力的なのは表題作「魂のいちばんおいしいところ」だろう。全文を引用する。
神様が大地と水と太陽をくれた
大地と水と太陽がりんごの木をくれた
りんごの木が真っ赤なりんごの実をくれた
そのりんごをあなたが私にくれた
やわらかいふたつのてのひらに包んで
まるで世界の初まりのような
朝の光といっしょに
何ひとつ言葉はなくとも
あなたは私に今日をくれた
失われることのない時をくれた
りんごを実らせた人々のほほえみと歌をく
れた
もしかすると悲しみも
私たちの上にひろがる青空にひそむ
あのあてどもないものに逆らって
そうしてあなたは自分でも気づかずに
あなたの魂のいちばんおいしいところを
私にくれた
上質のメルヘン的雰囲気や、まるで創世記のようなイメージ、それになんといっても、全面的な信頼に満ちた愛の表現、といった特質から見て、谷川さんがこの時期に親密になった佐野洋子さん（の作品と人格）の影を私などは感じてしまうのだが、そうした詮索など抜きにしても、この詩に無条件とさえいっていい（あるいは宗教的と呼んでもいい）慈愛を感じるのは私だけではないだろう。