骨折をおして

山田兼士

（「交野が原」73号）

生まれて初めて骨折しました

右肋骨の一番上

ベランダのフェンスを越えようと無理に

力を入れた時に折ったようです

事故から二週間後に整骨医で発覚しました

全治十ないし十二週間だそうです

痛みはたいしたことないのですが

（ただしコルセット着用で相対安静）

せっかくの初体験を存分に味わおうと

何かにつけ「骨折をおして」

を付けて遊んでいます

（本気で心配する人もいたりして）

骨折をおしてタクシー出勤

骨折をおして編集編集編集

骨折をおして信貴山頂で会議

骨折をおして東京出張二泊三日

骨折をおして原稿原稿原稿

骨折をおして歯医者さん

歯も骨の一部であることを痛感

骨折をおして毎晩お酒を飲んでいます

骨折発覚から四週間がたち

痛みはほとんどないのですが

大事を取ってなおコルセット着用

胸を締め付けるので声を出しにくい

講義を二つすると息が上がります

パソコン作業時も用心用心

例年多忙なこの時期

残り四週間をいかに乗り切るか

梅雨のさなかコルセットも暑いし

昨日第二詩集が出たところです

骨折をおして発送作業を終えました。