ボストンテリア

（詩集『月光の背中』より）

山田兼士

ボストンに住む娘から

誕生祝いに

ボストンテリアが届いた

容貌はなんとなく　くまモンに似ている

これを連れて散歩してね　との手紙

いいかも

早速ボストンテリアと町を歩くと

散歩中の犬たち（と奥さんたち）が

ほほえんで近づいてくれる

さすがは「アメリカ犬界の紳士」（＠ウィキペディア）

知能も高く性格は温厚

体は小さいが態度はけっこうでかい

このマンションで飼えるのは

体長六〇センチ（成犬時）までなので

難なくクリア

突っ立った耳と

少し間の離れた両目がブサ可愛い

本来は番犬なので縄張り意識は強い

とても繊細な一面もあるので

叱られると落ち込みも激しい

話しかけると首をかしげたり

いびきが大きいのもおっさんみたいで

かえってキュート

なんだか全部自分のことみたいだ

寿命は十三年から十五年

それなら

なんとか見とってやれるかも

一つの目安ができた感じ

ボストンテリアを身につけて

今日も夕方の散歩に出る